ある方から頂いた「池田大作とデューイ」とのタイトルが付された原稿の続きを、以下ご紹介致します。
記
2 池田大作、ジム・ガリソン、ラリー・ヒックマン『人間教育の新しき潮流 デューイと創価教育(第三文明社、2014年5月3日)をめぐって
はじめにでも書いたように表題の本には英訳本がある。Living as Learning, John Dewey in the 21st Century, Dialogue Path Press, 2014である。池田大作氏との対談者であるジム・ガリソン博士はヴァージニア工科大学教授であり、もう一人のラリー・ヒックマン博士は南イリノイ大学教授で、同大学にあるCenter for Dewey Studies の所長を務めていた。両人ともThe John Dewey Society[10]の会長を務めたことがある。またデューイセンターでは、デューイの全集と書簡集が編纂されており、近年ではデューイの講義録も出版されている。アメリカにおけるデューイ研究の一大中心地と言えるであろう[11]。先に注釈で触れたように英訳本の方は出版が後である。日本語版によると、あとがきに「本書は月刊誌『灯台』に連載された「人間教育への新しき潮流―デューイと創価教育」(2009年12月号~2011年7月号)を基に、一部加筆・再編集したものです」とある。だから初出は『灯台』ということになるが、このもとになった対談は一体、いつ行われたのであろうか? この本では東日本大震災のことにも言及しているので(424頁、p.258.)、対談の一部が東日本大震災(2011年3月)後にも行われたことを示唆している[12]。しかし日本語版にも英訳本にも、対談日時についての情報が一切ない。2008年8月に池田大作氏とジム・ガリソン博士、ラリー・ヒックマン博士が長野で歓談した写真が日本語版に掲載されているのが、三者が会った日付の証拠として残されている(81頁、英語版にはこの写真も日付もない)。日本語版にも英語版にも三者が会った写真が本の冒頭に掲載されているが、日付と場所の記載がないし、双方とも別の写真である。
筆者は対談時期をかつて筆者がお会いしたことがあるヒックマン博士に電子メールで尋ねてみた。筆者は1995年の9月に一日だけだが、故峰島旭雄早稲田大学名誉教授の主催する「デューイを読む会」の有志一行ととともに、南イリノイ大学のデューイセンターを訪れたことがあるからである。そこで2016年7月15日(日本時間)にメールを発信し、ウェブサイトのアクセス不明と対談日時について質問してみた。返事は翌日、返ってきたが、ヒックマン博士の代理人が発送してきた。三者対談の日時については返事には書かれていなかった。やはり何か他人には言えぬ事情がありそうだ。ちなみに三者対談の英訳本は、2015年にアメリカ教育協会の優秀書籍に認定されたことを2015年12月4日づけの聖教新聞が一面で報じている[13]。しかし先に引用したアメリカの池田センターではこの慶事を扱っていない。そもそもアメリカ教育協会ってどんな団体なのだろう?
ところで塚田穂高は、戸田城聖の用いていた「国立戒壇」という言葉が、池田大作編の『戸田城聖全集第一巻』(1965)では「本門戒壇」という言葉に何のことわりもなく書き換えられていると指摘している[14]。実際、現在、教団は、かつて出版した『人間革命』を、日蓮正宗との蜜月関係を記した部分を大幅に書き換え、販売している。筆者は創価学会相手に何かを書くということは、つまりそういうことだと自覚している。もしこの論文が刊行されれば、創価学会のデューイに対する扱いが変わる可能性もあると筆者は考えている。創価学会はその批判者に対して極端に神経質だ。そして歴史の記録という意識に乏しいのが、文章の改変が自由自在なのが創価学会指導部なのだ。だから彼らに関する古い資料はどこかで保存する必要がある。冒頭に記した南イリノイ大学デューイセンターの池田大作氏の英文論文の扱いの変化が、私にとっては、この事態を再認させた。
だから今回、扱う本だって、「存在しないもの」として、今後、廃刊とかされるかもしれない。以上のことを後世にいるかもしれないこの論文の読者に断わって、以下、内容の分析に入るとする。
[10]公式ホームページがある。 http://www.johndeweysociety.org/ 2016年7月21日閲覧。
[11] 前出http://deweycenter.siu.edu/ 2016年7月21日閲覧。
[12]以下、日本語版、英語版の本文中の引用にあたっては、日本語版、英語版の順に該当ページを略記した
[13] 筆者は国立国会図書館で聖教新聞の一面を確認した。
[14] 塚田穂高『宗教と政治の転徹点 保守合同と政教一致の宗教社会学』(花伝社、2015年、137頁)。
つづく
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大学と各種の専門学校で、法律学、哲学、社会学、家族社会学、家族福祉論、初等社会、公民授業研究、論理的思考などの科目を担当しています。
KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
私は命ある限り、人間を不幸にする悪と闘い抜く覚悟です。111歳までは、仕事をしようと決意しています。