杜下弘記裁判官に対する国家賠償請求訴訟の準備書面をご紹介させて頂きます。
この裁判の初公判は、4月28日午後1時30分から、東京地方裁判所の411号法廷で行われました。
記
平成27年(ワ)第5222号 国家賠償請求事件
準 備 書 面 (1)
原 告 髙 倉 良 一
被 告 杜 下 弘 記 外1名
平成27年4月27日
原告訴訟代理人
弁護士 生 田 暉 雄
東京地方裁判所 民事1部 御 中
訴訟能力について
記
第1、はじめに
①平成26年8月31日原告は、訴訟詐欺事件を提訴した。創価学会名誉会長池田大作(以下「池田」という)及び創価学会(代表者、正き゚正明)を被告として、池田が意思能力、訴訟行為能力を有しないのに、これを有するとして、原告の池田に対する東京地裁平成23年(ワ)第29303号損害賠償請求事件(これら3件を合わせて「第1次訴訟」という)において、訴訟能力詐欺を行ったとして提訴した。
杜下裁判官は、受付係書記官と連絡して、単独審として訴訟詐欺事件を受理担当した。
杜下裁判官は、平成26年10月20日第1回口頭弁論期日を開き、訴状、答弁書陳述し、直ちに結審し、判決宣告期日を同年11月10日と宣告した。言渡しは、平成27年4月20日。
原告が被告の答弁書に対する反論を予定しているので、次回期日までに提出するとの原告の申立を断っての結審であった。
これに対し、原告は、裁判拒否を理由に、国家賠償を提訴した。これが本件である。
第2、当事者能力について
1、東京地裁平成26年(ワ)第22756号訴訟能力詐称の不法行為に基づく損害賠償事件(「訴訟能力詐欺事件」と称す)では、当事者の一人である池田大作(以下「池田」という)が生存しているのか、意思能力・訴訟能力はあるのかが問題になっている。
まず、生存が明らかでないかもしれないことから、当事者能力について一言したい。
周知の通り、仮に池田が生存していない場合には、池田には権利能力ないし当事者能力が欠けていることになり、訴えは不適法なものとして却下される(民事訴訟法第28条)。当事者能力は、訴訟要件であるので、当事者能力の存在が要求される基準時は、事実審の口頭弁論終結時である(最高裁判所昭和42年6月30日判例時報493号36頁)。
2、当事者能力は、裁判制度を設置運営する裁判所(ひいては国家の最終的運営者である国民)の立場から要求されているものである。そのため、他の多くの訴訟要件と同様、当事者からの申立てを必ずしも要求せず、裁判所が自ら能力の有無を調査する(職権調査事項。岡伸宏『民事訴訟法の基礎』(法学書院・2008年)97頁)。
当事者の実在や当事者能力を証明する方法は、当事者の提出した書証や戸籍謄本等の調査によるが、それは唯一の方法ではない。当事者が長期の行方不明となっている場合などには、その事項を調査し、場合によれば失踪宣告を促すことも考えられる(鈴木重勝「当事者能力欠缺看過判決の効力」早大法学100周年記念号235頁以下参照)。
第3、意思能力・訴訟能力について
1、次に、訴訟能力について検討する。
訴訟能力とは、自ら単独で有効に訴訟行為をなし、またはこれを受けるために必要な能力とされている。すなわち、当事者が自らのなすべき・受けるべき訴訟行為の意味とその効果を理解していなければ、訴訟の効果を生じることは私的自治の観点から許されるべきではないのである。そのために要求されている制度が、訴訟能力である。
2、 訴訟能力は、個々の訴訟行為を有効とするための要件であるから、訴訟能力を欠く訴訟行為は無効となる(岡・前掲71頁)。訴訟能力詐欺事件で、もしも訴訟提起時に池田の訴訟能力が欠けているとすれば、その訴えは有効ではなくなる。提起時には訴訟能力を有していたけれども、その後訴訟能力を喪失していれば、個々の訴訟行為が無効となる。
ただし、無効な訴訟行為でも、能力を回復した本人またはその法定代理人が追認をすれば、有効化される余地はある。
3、一般に、訴訟能力は行為能力と結び付けて論じられるが、訴訟行為が有効であるためには、当事者が意思能力を有していなければならないことは言うまでもない。仮に訴訟能力者であっても、意思能力を欠く状況でなされた訴訟行為は、訴訟行為として不成立となる。「無効」ではなく、そもそも不成立となるので、意思能力が欠けた状態でなされた訴訟行為は追認不可能である(上田徹一郎『民事訴訟法』(法学書院・2011年)100頁。
なお、最高裁判所昭和29年6月11日判決民集8巻6号1055頁参照)。
4、意思能力の証明
民法上の意思能力無効は、相対的無効に近づいていると言われている(熊谷士郎『意思無能力法理の再検討』(有信堂・2003年)参照)。もしも、この部分を強調するならば、訴訟能力の証明も、無効を主張することによって利益を受ける者以外からはできないことになる。
しかし、訴訟上の意思能力の有無は、それまで訴訟行為の有効を前提としてなされてきた訴訟行為全体の有効性を阻害するので、手続の安定性を著しく害する危険性がある。
そこで学説上、裁判所はいつでも職権で訴訟能力の有無を調査しなければならない、とされている(石川明編・豊田博昭執筆『民法訴訟法』(青林書院・2002年)51頁)。
5、訴訟能力の喪失とその時期
なお、当事者が訴訟能力を喪失したのが、訴訟継続後であれば、訴訟能力の消滅等は訴訟手続の中断をもたらすにすぎない(民事訴訟法124条1項3号。なお、新堂幸司『新・民事訴訟法』(弘文堂・2005年)146頁)。学説の多数によれば、訴訟能力は訴訟係属が適法に生じた後も常に必要とされるという意味での訴訟要件ではない(新堂・前掲205頁)。
つづく
にほんブログ村
***********************************
義捐金を振り込まれる際には、可能な限り、ご住所とお名前をお知らせ頂ければ幸いです。メールアドレスでも結構です。何卒よろしくお願い申し上げます。 白バラ運動支援義捐金の振替口座の番号は下記の通りです。1口300円です。ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
大学と各種の専門学校で、法律学、哲学、社会学、家族社会学、家族福祉論、初等社会、公民授業研究、論理的思考などの科目を担当しています。
KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
私は命ある限り、人間を不幸にする悪と闘い抜く覚悟です。111歳までは、仕事をしようと決意しています。