元大阪高等検察庁公安部長の三井環氏から、以下のような検察審査会に対する審査申立書が届きました。三井氏から掲載の許可を頂きましたので、ご紹介致します。
なお、東京第の後に数字が記載されていないのは、検察審査会が受理した際に記入するからとのことです。
審査申立書
東京第 検察審査会御中
2011年4月1日
1 申立人
三井 環
2 被疑者
① 林谷 浩二(大阪地検特捜部検事)
② 坂口 英雄(同庁副検事)
③ 國井 弘樹(同庁検事)
④ 遠藤 裕介(同庁検事)
⑤ 高橋 和男(同庁副検事)
⑥ 牧野 善憲(同庁副検事)
⑦ 佐賀 元明(同庁特捜部副部長)
⑧ 大坪 弘道(同庁特捜部長)
⑨ 玉井 英章(同庁次席検事)
⑩ 小林 敬(同庁検事正)
⑪ 榊原 一夫(大阪高検刑事部長)
⑫ 太田 茂(大阪高検次席検事)
⑬ 中尾 功(大阪高検検事長)
⑭ 鈴木 和弘(最高検刑事部長)
⑮ 伊藤 鉄男(最高検次席検事)
⑯ 樋渡 利秋(検事総長)
3 罪名及び罪条
上記①~⑥ 証拠隠滅(刑法104条)公用文書等毀棄罪(刑法258条)
上記⑦~⑯ 犯人隠避(刑法103条 刑法60条)
4 不起訴処分
平成22年12月24日(最高刑第380号)
5 不起訴処分をした検察官
最高検察庁検察官検事 長谷川 充弘
6
① 被疑者林谷、同坂口、同國井、同遠藤、同高橋、同牧野は平成21年2月頃から同22年3月頃までの間、大阪地方検察庁において「取り調べメモ」を廃棄し、村木厚子事件の証拠を隠滅するとともに公務庁の用に供する「取り調べメモ」を毀棄したものである。
② 被疑者佐賀、同大坪、同玉井、同小林 同榊原、同太田、同中尾、同鈴木、同伊藤、同樋渡は共謀の上、上記林谷ら6人の検察官が「取り調べメモ」を廃棄し、村木厚子事件の証拠を隠滅するとともに公務庁の用に供する「取り調べメモ」を毀棄した証拠隠滅ならびに公用文書等毀棄の罪に当たる犯人であることを認識しながら、これを隠ぺいしたものである。
7 不起訴処分を不当とする理由
① 最高検が被疑事実について不起訴処分としたその裁定の根拠及び理由を告知されたく申立人は平成23年2月17日請求したかが文書では明らかにされていない。ただ後記のとおり長谷川主任検事から本年3月29日、電話にて申立人に若干の説明があった。
本件の争点は「取り調べメモ」が公文書に該当するか否かにある。
これまで「取り調べメモ」につき最高裁において、平成19年12月25日第三小法廷決廷決定、同20年6月25日第三小法廷決定、がある。同年9月30日第一小法廷決定がある。
いずれの決定も「取り調べメモ」が公文書であって証拠開示の対象であることを認定している。
その決定をふまえて最高検は同20年7月9日付同年10月21日付最高検刑事部長通知が高検次席検事、地検次席検事に発せられ各検察官はこれらの最高裁決定を充分了知していたものと考えられる。
さすれば本件「取り調べメモ」は公文書であること疑う余地がなく、被疑者ら6人はこれを廃棄したこと自ら認めているのであるから、証拠隠滅と公用文書等毀棄罪が成立する。
「取り調べメモ」は被疑者の供述の内容、言動等がなまなましく具体的に記載されているものでそのメモに従って検面調書が作成されるのである。
メモの内容のすべてか検面調書に作成されるということはありえない。申立人が約29年間検事の職務に従事した経験からそれは絶対にありえないと断定しうる。
被告人に有利なことはメモにあっても検面調書にはないのが通常である。
特に村木厚子事件では上村勉係長、塩田部長の検面調書は虚偽内容であって法廷での証言が真実だと裁判官によって認定され多くの検面調書が証拠能力がないとして排除されたのである。
当初の供述内容(真実)、村木厚子が関与した虚偽供述の内容、脅迫等を加えられて虚偽供述をした状況等、任意性、信用性を否定しうる事柄がメモには記録されていると考えられる。
その公文書を廃棄したのであるから、裁判の結果をゆがめる行為である。前田恒彦主任検事がフロッピーディスクを改ざんした証拠隠滅罪と本質的には全く同様の重大な犯行だと断定せざるを得ない。
長谷川主任検事は伊藤鉄男次長検事、大林宏検事係長の決裁を得た上「嫌疑なし」との処分をした。例にも被疑者6人の犯罪を認定すればその上司である⑦~⑯の被疑者の犯罪すなわち犯人隠避罪の責任が問われるのである。
被疑者6人の犯行を「嫌疑なし」としたのは門前払いすることによって検事総長らの犯行を隠ぺいしたとしか考えられない。
3月9日長谷川主任検事は申立人に対し電話で「取り調べメモの内容がすべて検面調書の内容となっているため廃棄した」と説明した。メモの内容がすべて検面調書に作成されたのか否か破棄しているのであるから裁判官、弁護人、第3者が対査することは不可能である。検察を信用しろというのであろうか。
村木厚子事件を通じて検察の信頼は崩壊した。その隠ぺいの体質は多くの国民の知るところとなった。
検察を信用しろというへり屈は多くの国民には通じないであろう。「取り調べメモ」が公文書であると認定されるならば、その内容が仮にも検面調書の内容となっていたとしても本来公文書であるものが非公文書となるものではない。
ここまでへり屈を言ってまで検事総長らの犯罪を隠ぺいする必要があったのである。
仮りにも検事総長ら上層部の犯人隠避罪が立件されるならば法務検察は完全に崩壊するであろう。
その配慮が働いた結果、被疑者①~⑥をの「嫌疑なし」と裁定したとしか考えられない。
② なお①~⑥の被疑者の犯罪の犯行状況は公判経過報告(三長官報告)によって検事総長まで認識しているのである。公判経過報告を検察審査会が入手すれば上層部の被疑者⑦~⑯の決裁印が捺印されていることが明らかになるであろう。
犯人隠避罪はもちろん不作為犯でも犯しうること判例理論の認めるところである。
③ 平成22年9月27日付 同10月12日付告発状を参考までに添付したい。
また平成22年12月24日付処分通知書、同23年2月15日付不起訴処分理由告知書同23年2月17日付の請求書をも参考までに添付したい。
④ 検察審査会は「民意を反映させてその適正を図る」組織である。常識的に判断してもらいたい。 常識的に判断するならば「嫌疑なし」などという処分にはなりえない。
本件は最高検が捜査した事件であってその検察内部の論理が優先された結果、身内の者をかばい、また検事総長ら上層部をかばい、法務検察維持と自己の保身を図ったものと断せざるを得ない。
⑤ 裁定理由、捜査記録を検討されその結果、検察審査会において疑問点があれば、ぜひとも申立人に対し文書による反論の機会あるいは尋問されることを期待したい。
(連絡先)
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KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
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