シナリオ「三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-」のつづきをご紹介致します。このシナリオは、2021年度のさぬき映画祭シナリオコンクールに応募した作品です。
三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-
16 教育学部・5号館・社会科研究室の部屋
賢治がニコニコしながら座っている。劇を担当する学生達が入室して来る。
早苗「驚いたわ。賢治君が、私達よりも早く来ているなんて」
洋平「どうしたんですか?」
賢治「県立図書館に、こんな絵本があったよ」
希望「この絵本(パラパラしながら)、市立図書館で見付けた子ども向けの本よりも面白そうね」
賢治「(笑いながら)この絵本をネタに、希望さん、脚本書いてよ。バイトで忙しい中、見付けたんだから、後は頼むよ」
希望「ありがとう。頑張るから」
17 教育学部・5号館・社会科研究室の部屋
壁には劇の配役表が貼られ、黒板には登場人物の名前と関係図が書かれている。テーブルの上にはセリフが記された紙が置かれている。部屋に入った学生達は、紙が置かれているテーブルの席に座る。
希望「(ニコニコしながら)劇の原案ができたわ」
賢治「(壁を見上げながら)何、これ」
希望「劇の配役表よ。脚本が完成したの。賢治君のおかげよ」
賢治「俺のおかげって?」
希望「賢治君が、絵本を見つけてくれたでしょう。あの絵本がヒントになったの」
洋平「どんな劇?」
希望「セリフ表を見て。私が、これから一人で読み上げるから」
希望が立ち上がる。声の調子を変えながら読み上げる。
洋平「面白いね。憲法ビームを発射するとは。幼稚園児でも楽しめる設定だね」
賢治「希望さんが一人芝居をやったら。俺、バイトで忙しいから助かるけど」
早苗「(賢治を睨みつけながら)何、言っているの。希望ちゃんが頑張ったのに」
賢治「(ニヤニヤしながら)冗談だよ、冗談。俺とても忙しいけどさ、役はちゃんとやるからさ」
18 8号館・811教室
黒板に、絵本とクイズの代表者が模造紙を張り出す。
島津「なるほどね。紙芝居は、アンパンマンを主人公にするのか。子ども達も親しみやすいね。クイズ班は、世界の面白い法律を扱うのか。劇は?」
希望「アナウンサー役をする早苗さんが、粗筋を説明します」
早苗「劇の主人公は憲法君です。憲法君が突然、行方不明になります。すると、国家権力と名前が書かれた黒マントを着た男が現れ、憲法君がいないから俺達の天下だと高笑いします。そして、憲法君を探している若者達を、警察官達が、俺たちの命令に従わないからと捕まえようとします。そこに、憲法君が現れます。憲法君が、黒マントの男に憲法ビームを発射すると、黒マントの男と警察官達が逃げ出します」
島津「なるほど、劇のグループは憲法がなくなったらとの設定ですか。憲法君と国家権力の黒マント役のやり取りは、子ども達が喜びそうだね」
つづく
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三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-
13 香川大学・法学部・又信戦歿学友慰霊之碑
島津と学生達が碑文の前に立っている。
島津「学徒出陣のことを知っていますか?」
早苗「知りませんでした」
希望「テレビで学徒出陣の映像を観た記憶はありますが、大学の構内に慰霊碑があるとは」
賢治「慰霊碑を前にすると、何となく実感が沸きますね」
希望「確かに」
島津「日本国憲法は、第二次世界大戦で亡くなった方々の墓標のようなものです」
早苗「そうですね。多くの方々の犠牲があったのですね」
島津「今、ここに居るのは、宇宙最大の奇跡です」
洋平「え?」
島津「138億年前に、今の宇宙が誕生して以来、何か一つでも欠けていたら、私達は出会うことはなかったでしょう」
希望「確かに、そうですが」
島津「憲法を学ぶと、宇宙最大の奇跡である人間の生命を大切にして生きて行こうと考えるようにをなるのではないでしょうか。憲法を学ぶと、人間が人間らしく生きることができる世界の構築を目指して行動しようと考えるようになるのではないでしょうか?」
14 教育学部・5号館・社会科研究室の部屋
希望がパソコンに向かっている。
劇を担当する学生たちが、次々に入ってくる。
希望「提案があるけれど」
早苗「どんなこと?」
希望「図書館や書店に行って、憲法の本を探してみない。憲法に関連する施設見学は無理だから」
洋平「教授が、香川大学教育学部の近くに高松市立図書館もあるから、子ども向けの本を調べられると言われていたね」
希望「本を手に取ってみたら、何かアイデアが生まれるかもしれないと思うの」
賢治「希望ちゃん、やる気になったんだ」
希望「そうよ。教授の宇宙最大の奇跡という言葉に触発されたの」
賢治「熱伝導の法則みたいだね。県立図書館だったらバイト先の近くだ。俺が行ってみるよ。どんなことを調べてみようか」
希望「ありがとう。日本国憲法に関する本で、読みやすい本を探してみて」
早苗「希望さん、二人で大学の図書館に行ってみよう」
15 香川大学図書館・2階
希望と早苗が憲法コーナー前に立っている。
早苗「憲法の本は沢山あるね。図書館で憲法の本を見たのは初めて」
希望「(手にした本をパラパラ捲りながら)全部、法学部の学生向けね。難しそうなものばっかり」
早苗「高松市立図書館に行こう。子ども向けの本を調べてみよう」
希望「小さな子どもを対象にした憲法の本はあるかな・・・」
つづく
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10 香川大学・教育学部・8号館・811教室
座席にプリントが置かれている。
学生達が入室して来る。
島津「プリントは、皆さんが鑑賞したドキュメンタリーの感想レポートです。名前は、全部黒塗りにしてあります。全員のレポートを読んだ上で、来週までに意見交換をして置いて下さい」
賢治「全部読むんですか?」
島津「もちろん。次回は、各グループの代表者に話し合いの結果を発表してもらいます。今日は、これで解散」
11 香川大学・六号館・社会科研究室
希望、早苗、賢治、洋平が向かい合って座っている。
早苗「同じドキュメンタリーを観たのに、感想は違っているね」
洋平「成田空港を作る時に、機動隊と農民や学生達が激突したとは全く知らなかったよ」
希望「日本の現代史を学んだことがなかったことに気が付いた」
早苗「でも、なぜ、この映画と『夜と霧』が未来からの留学生の劇の参考になるのかしら?」
賢治「希望ちゃんが責任者だから、教授に質問して。よろしく」
12 香川大学・教育学部・8号館・811教室
希望達のグループが教壇に並んでいる。
島津「大塚さん達のグループでは、なぜ、これらのドキュメンタリーが未来からの留学生に関係があるのかとの意見があったのですね」
希望「そうです。先生の意図が分かりません。」
島津「日本国憲法が制定された背景を知るためです。あなた方は、現代史を学んでいないでしょう」
早苗「確かに、大学入試では範囲外ですし」
島津「ヒトラーが率いたナチスは最も民主的と言われたワイマール憲法下で政権を取り、ユダヤ人の大虐殺を行ったのです」
希望「福島さんの映画は、第二次世界大戦後の日本の歴史を知るためなのですか?」
島津「そうです。と同時に、福島さんのことを知って欲しかったからです」
洋平「でも、映像だけではね・・・」
島津「香川大学の構内にも、第二次世界大戦に関連する記念碑があるのを知っているかい」
賢治「まさか。本当ですか?」
島津「次回は、そこに案内します」
つづく
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三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-
7 教育学部8号館・横・テニスコート前
早苗「『夜と霧』は凄い映画だったね」
洋平「人間の死体が、ブルドーザーで片付けられている映像はショックだった」
早苗「私、気分が悪くなったわ」
希望「でも、この映画が、未来からの留学生に関係があるの」
賢治「ホールソレイユで上映されている映画も観に行かなければならないとは。バイトで忙しいのに」
8 映画館・ホールソレイユ・入り口
映画館入り口ポスター前に早苗が立っている。
希望「ごめんね。遅くなって」
早苗「上映時刻には間に合ったわね」
9 ホールソレイユ・入り口
早苗と希望が入り口から出て来る。
早苗「知らなかったわ。広島の平和公園がスラム街だったなんて」
希望「原爆ドームは、修学旅行で見学したことはあったけれども」
早苗「卒業旅行に沖縄に行こうと考えていたけれども、アメリカ軍の基地が沢山あるから危ないね」
希望「映画のパンフレットを買ったわ。福島さんのことをもっと知りたいと思うから」
早苗「見せてね。この映画と『夜と霧』の感想レポートを提出するようにと言われたからね」
つづく
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結果は落選でしたが、貴重な体験となりました。ご高覧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-
5 教育学部・8号館・6階・島津研究室入り口
希望がドアをノックする。「どうぞ」との島津の声。希望が、研究室のドアを開ける。研究室内の通路には沢山の本が置かれている。
島津「気を付けて。座る場所がないから、立ったままで話そう」
希望、早苗、洋平が奥まで進む。
教授の机の上に本が沢山置いてある。机の横のホワイトボードの真ん中に「憲法大学習運動の可能性」と大書され、その周りには付箋が多数張られている。
島津「どうしたの?」
希望「(意を決した表情で)一方的に決めるなんて先生、憲法をテーマにした劇は私達には無理です。」
島津「先輩達に尋ねたかい?」
早苗「まだです」
島津「努力と真剣の違いが分る?」
洋平「(びっくりした表情で)え?」
島津「努力は言い訳に使われることが多い。努力したけれど、できませんでしたとね」
早苗「確かに」
島津「君達は努力もしていないだろう。やると決めた上で、どうしたら実現できるかを考えるんです」
希望「憲法は、守ろうとする人達と、改正すべきだと主張している人達が対立しています。意見が対立している問題を、しかも3,4歳の小さな子どもから保護者と高校生まで参加する未来からの留学生で扱うなんて無茶苦茶です」
早苗「そうです。私達は将来教員になります。教員は中立でなければならないはずです」
島津「(大笑いする)ワッハッハ。確かに、憲法をめぐる議論は対立しているよ。でもね、憲法を学習しようとの提案には、右も左も反対できないだろう」
希望「学習ですか?」
島津「そうだよ。この企画は、憲法のことを学ぼうとの動機付けになればいいんだ。次回、ヒントとなる私の論文を配布するから」
6 香川大学・教育学部・8号館・811教室
座席にプリント「憲法大学習運動の立法化は可能か?」、「三歳児からの憲法学習の可能性を考える」が置かれている。
島津がスクリーンを下ろそうとしている。学生達が入室して来る。
島津「今日はドキュメンタリー『夜と霧』を上映します。(教授はDVDの箱を見せながら)ご覧になったことがありますか?」
学生達は顔を見合わせる。
島津「この映画はアウシュビッツ収容所のドキュメンタリーです。それから、連休の間に、ホールソレイユで上映されている映画『ニッポンの嘘―報道写真家福島菊次郎90歳』を鑑賞して下さい」
つづく
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KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
私は命ある限り、人間を不幸にする悪と闘い抜く覚悟です。111歳までは、仕事をしようと決意しています。