山本哲也氏が、私を名誉棄損で訴えた裁判の一審判決の続きをご紹介させて頂きます。
記
第2当事者の主張
1本訴請求
(1)請求原因
ア 当事者ら
(ア) 本訴原告兼反訴被告
本訴原告兼反訴被告(以下,単に「原告」という。)は,宗教法人創価学会(以下「創価学会」という。)の職員であり,同会の副会長である。
(イ)本訴被告兼反訴原告
本訴被告兼反訴原告(以下,単に「被告」という。)は,香川大学教育学部の教授であり,創価学会の会員である。
イ 被告による別件訴状の公開
被告は,インターネット上に,「白バラ通信パンドラの箱」と題するブログ(以下「本件ブログ」という。)を平成23年2月に開設し,公開している。
被告は,平成25年3月5日,本件ブログに,「創価学会池田カルト―派とその裁判シリーズその84」と題して,被告を原告とし,和田公雄(以下「和田」という。)を被告とする損害賠償請求事件(以下「別 件事件」という。)の訴状(以下「別件訴状」という。)の文面を掲載する記事を投稿した。この際投稿された別件訴状の文面の中には,別紙文言目録1記載の文言(以下「本件文言1」という。)及び別紙文言目録2記載の文言(以下「本件文言2」といい,本件文言1と併せて「本件各文言」という。)が含まれていた。
本件文言1は,被告が和田に損害賠償を求めて提訴したとして別件訴状を紹介するという体裁のもと,創価学会の要職にある原告が,被告の言動を封殺するために,被告に対し,脅迫罪や強要罪に該当する犯罪行為を実行すること,さらにはそのための手段として殺人罪や逮捕監禁罪などの犯罪行為までも実行することを,和田らと共謀したとの事実を摘示する部分を含むものであった。また,本件文言2は,創価学会の要職にある原告が,被告の言動を封殺するために,和田を通じて,被告に対し殺人を予告して脅迫し,また,査問の場において,家族に対する危害を加える旨を被告に告知して脅迫,強要を行う計画を立案するとともに, 被告を逮捕監禁して傷害ないし殺害することを計画して,平成20年 2月24日の査問の前日に,被告を上京させたとの事実(以下,本件各文言によって摘示されたこれらの事実を併せて「本件各摘示事実」とい う。)を摘示する部分を含むものであった。
ウ 原告の社会的評価の低下
被告による本件各文言の本件ブログへの投稿及び掲載は,前記イのとおり,本件ブログの読者に対し,原告が,宗教法人の要職に就く者でありながら,重大な犯罪を実行に移す意思を有し,かつ,犯罪実行の具体的な計画立案及び準備行為を行った者であるとの印象を与えるものであり,原告の社会的評価を低下させるものであった。
エ 掲載差止めの必要性
本件各文言が,いつでも誰でも閲覧可能な本件ブログに掲載されたことにより,原告の名誉権は侵害されており,これによって原告が被った精神的苦痛は,事後的な金銭賠償のみでは回復不可能であり,本件各文言を削除して,その掲載を差し止める必要性は極めて高い。
オ 原告の損害
原告は,創価学会の副会長として同会会員の模範となるべき立場にある者であり,同会会員からのみならず,社会的にも高い信用を得ているにもかかわらず,本件各文言により,その社会的評価が著しく低下したものであるから,これによる原告の精神的損害を金銭に換算すれば1000万円を下らない。
また,本訴事件の弁護士費用のうち,被告による不法行為と相当因果関係が認められる損害は,100万円を下らない。
力 よって,原告は,被告に対し,人格権に基づき,本件各文言の削除を求めるとともに,不法行為に基づき,1100万円の損害の賠償及びこれに対する不法行為日である平成25年3月5日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(2)請求原因に対する認否
ア 請求原因ア(2)は知らず,同(イ)は認める。
イ 請求原因イ及びウは認める。
ウ 請求原因エ及びオの事実は否認し,主張は争う。
(3)抗弁
ア 違法性阻却事由
(ア)公共の利害に関する事実
本件各摘示事実を含む本件ブログの各記事は,創価学会が,宗教法人としての本旨を大きく違法に逸脱して,犯罪集団に成り下がっている現状を明らかにするものであり,公共の利害に関する事実を公表するものである。
(イ)専ら公益を図る目的
摘示された事実が公共の利害に関する事実であれば,これを摘示する動機も通常は公益を図る目的にあるとされることから,それが専ら公益を図る目的であることを争う当事者が,他の目的を具体的に主張立証しない限り,他方当事者が,専ら公益を図る目的であることについて具体的な主張及び立証を迫られることにはならない。
被告は,公共の利害に関する事実として,本件各文言を掲載したものであるから,専ら公益を図る目的でなしたものでもある。
(ウ)真実性
被告が創価学会から懲戒又は除名処分を受けておらず,依然として同会の会員であり続けている事実のほか,被告の陳述書(乙1,2)によれば,本件各摘示事実がいずれも真実であることは明らかである。
(エ)真実であると認めるに足りる相当な理由
被告は,聖教新聞社の記者であり,関西方面の創価学会学術部の責任者である友岡雅哉(以下「友岡」という。),元創価学会副教学部長であり,創価学会副会長であった亡野崎勲の実兄である野崎至亮(以 下「野崎]という。」及び和田から受けた情報提供や,被告自身が,香川大学教育学部教授で,創価学会員である佐々木信行(以下「佐々木」という。)から査問等を受けた事実に加え,原告から査問を受けたこと及びその前後の状況等から,本件各摘示事実が真実であると確信しているものであるから,真実と信じるにつき相当な理由がある。
イ 権利濫用
本件各文言は,別件訴状の文言の一部であるところ,別件事件の手続は公開されているし,同事件の判決文にも本件各摘示事実が判示されて 公開の法廷で言い渡されているのであるから,これをブログに掲載することは名誉を侵害することにはならないし,仮にその可能性があっても, 憲法上定められている裁判の公開の方が優先するから,原告の本訴請求は権利濫用である。
また,上記のとおり裁判所が本件各摘示事実を判示した判決を言い渡しているほか,被告は,原告を含む多数の者を相手方とする訴えを多数提起してその訴状も公開しているにもかかわらず,原告は,和田との関係でのみ名誉毀損を問題としており,権利濫用である。
つづく
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大学と各種の専門学校で、法律学、哲学、社会学、家族社会学、家族福祉論、初等社会、公民授業研究、論理的思考などの科目を担当しています。
KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
私は命ある限り、人間を不幸にする悪と闘い抜く覚悟です。111歳までは、仕事をしようと決意しています。