「権力悪との闘いシリーズ その32」でご紹介致しましたが、8月30日午後1時45分に、香川県弁護士会が、私の訴訟代理人である弁護士の生田暉雄先生に対して1ヶ月間の業務停止処分を行いました。
以下、生田先生が、日本弁護士連合会に提出された文書「懲戒処分の異議申立及び効力停止申立書(その2)」の続きを掲載させて頂きます。
記
(3)日弁連の定める弁護士職務基本規程に則って解釈すれば、「受任の際の説明」、「委任契約書の作成」をしておらず、さらには「不当事件の受理」に該当するが、その判断資料も与えられていないので、事件受任契約自体が未成立であること。
① 対象弁護士(生田)は、懲戒申立人(X)に「受任の際の説明」「委任契約書の作成」をしていないこと
ア、市民オンブズマンBの「お詫び状」(別紙10)
Bの「お詫び状」1頁によれば、
『 生田先生には2009年6月16日にこの事件及びXを紹介させていただき、事件の論点を要約してお知らせすると約束したものの、8ヶ月後の2010年2月3日に「告発状」(資料②)として私がこの事件を纏め上げるまでは、Xの身勝手な被害者意識過剰の主張に惑わされて、冤罪の理由が飲み込めないまま時間が経過してしまいました。冤罪の理由は、X自身の「選挙後供応接待受諾」行為に加担させられた運動員が、賃金不払いをXにやめさせるために、「投票時現金買収」に切り替えて相手から領収証をもらって脅かそうとして失敗し、発覚した事件だったのです。生田先生とXのご両名に対して、「国賠訴訟等は無理である」旨をその時にお伝えし、委任契約清算をXに強く進言いたしました。そもそも、Xと2008年12月に冤罪事件被害者として知り合った時に、X自身の口から、「国選弁護人が国賠訴訟等は無理だよと言っていたが、私は絶対に許せない。」と聞いていたが、「なるほどこういうことだったのか」「Xにも有罪に等しい落ち度があったのか」と、合点がいきました。その後身勝手に事実無根の私の悪口を言いふらすXとは険悪な関係になっていましたので、委任契約が未清算であることは最近まで知りませんでした。』
とあり、B自身が生田に知らせると約束した事件の論点、要約を、事件にはXに非があると知ったBは、要約を生田に知らせることなく、生田とXに国賠訴訟等は無理であると通知したこと。
イ、A陳述書(別紙11)
『 Xは「Aさんに見捨てられたら困る。」と懇願し、相当の謝礼・報酬を用意する旨言及して執拗に協力関係の継続を求めてきました。私は、非弁行為(弁護司法72条)について説明し、同行為に抵触する恐れのある問題処理について平成21年6月下旬に私からX幸子に生田暉雄弁護士を紹介しました。
この紹介にあたり、Xに対し、「あなたの抱えている問題は複雑だから、先ずは、事実経緯や基礎事件内容を整理した詳細な書面を作成して弁護士に渡して下さい。そうでないと訴訟準備が進みませんよ。」と何度も注意しました。
‥‥‥‥
事実の経緯については私自身がしなければXは出来ないだろうと内心では思っていたので、同年6月下旬に、生田暉雄弁護士には、私が事実の経緯をまとめて報告しますと連絡しておきました。
しかし、その後X幸子とは種々のいさかいが生じ、私はXを訴えることになりました。
‥‥‥‥
私は、Xに対する協力はしないことにしました。生田暉雄弁護士に、平成21年7月末か8月頃に、Xの件は棚上げにする。Xからの依頼は無かったこととして扱われたい、と電話で連絡しました。』
以上のように、Aは、Xに対し、整理した詳細な書面を生田に渡すよう指示し、他方、自分が生田に経緯を報告すると約束しておきながら、平成21年7月末か8月頃に、Xの件は棚上げにする、依頼は無かったこととして扱われたい、と連絡して打ち切っていること。
②、弁護士職務基本規程との関係
ア、事件受任の際の弁護士の説明義務
a 弁護士職務基本規程によれば、以下のとおり規定されている。
『(受任の際の説明等)
第29条 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。
2、弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。
3、弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。』
b Xの場合、X本人からはもとより、B、A(別紙10、11)の供述書で明らかなように、依頼者からは、平成21年6月16日の紹介時には、依頼者からは一切の情報が与えられていない。そもそもどんな事件の依頼かも定かではないのである。
従って、第1項の処理方法、報酬・費用について、適正な説明のしようが無い。もとより、説明は一切していない。
第2項の、有利な結果の請け合いや保証も、その仕方が無いことはもとより、もちろんしていない。
第3項の依頼者の期待する見込を装って受任するという以前に、依頼事件、依頼事項自体、B・Aの説明が無ければ明らかとならない。
しかし、最終的にB・Aからの説明はなされていないのである。
イ、委任契約書の作成義務
a 弁護士職務基本規程による定めは、以下のとおりである。
『(委任契約書の作成)
第30条 弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、これを作成する。
2、前項の規定にかかわらず、受任する事件が、法律相談、簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。』
b Xの場合、そもそも、委任契約作成に必要な資料が一切与えられておらず、委任契約作成以前の契約の成立の条件(申込の条件であるB・Aによる説明)が成就されていない。
もとより、委任契約書は作成していない。
従って、承諾以前の問題である。即ち、委任契約自体が不成立である。
また、もとより、法律相談、顧問契約‥の存在等、委任契約書の作成を要しない合理的な理由(第2項)が存する事案では全く無い。
c Xの場合、委任契約書を作成したくとも出来ない段階なのである。
即ち、法律的な委任契約の申込の条件(B・Aの説明)が成就していないのである。
法的には、法律上の委任契約は、契約の申込の未完成により、契約自体未完成なのである。
ウ、不当な事件受任禁止義務
a 弁護士職務基本規程による定めは以下のとおりである。
『(不当な事件の受任)
第31条 弁護士は、依頼の目的又は事件処理の方法が明らかに不当な事件を受任してはならない。』
b Xの場合、B・Aの説明が無ければ、依頼の目的が不当か、不当な事件処理をしなければならない事件か、明らかにならない。
何度も主張するように、契約の申込の条件(B・Aの説明)の不成就で、申込自体不成立なのである。
従って、契約の申込に対する承諾をする段階にまで至っていないのである。
不当な事件の契約か否か、不当処理を要する案件の契約か否かの以前の問題である。
c なお、Bの詫び状(別紙10)1頁では、無罪となった理由自体にXの非があり、国賠訴訟の提起は、不当国賠訴訟になることで、B自体、生田に対する説明を止めている。
Bの詫び状は、まさにXの依頼を受けることは、弁護士職務基本規程31条による不当な事件の受任になることを明白に述べたものである。
幸いにして、B・Aの説明責任の放棄の通知により、生田は、31条の不当な事件の受任以前の契約の申込の段階でストップさせられたのである。
③ 以上のとおりで、Xの対象弁護士(生田)に対する委任契約は存在していない。
第3、結論
以上のとおり、議決書は委任契約は成立しているとする。
しかし、弁護士職務基本規程に則って検討しても本件委任契約は成立していない。
従って、香川弁護士会の本件業務停止一ヶ月の懲戒処分は不当である。
日弁連におかれましては、真実の処分をされたく、お願いする次第です。
以上
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記
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大学と各種の専門学校で、法律学、哲学、社会学、家族社会学、家族福祉論、初等社会、公民授業研究、論理的思考などの科目を担当しています。
KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
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