昨日のブログで、8月30日(金)午後1時45分に、香川県弁護士会が、私の訴訟代理人である弁護士の生田暉雄先生に懲戒処分を行おうとしていることをお知らせしました。
このブログをご覧になられている皆様方に、生田暉雄先生に対する絶大なるご支援を心よりお願い申し上げます。
香川県弁護士会に対して、「香川県弁護士会は、懲戒手続において、生田暉雄弁護士に対して適正手続に従った懲戒をすべきである。」との要望書を送付なさって頂けないでしょうか。FAX,電話、電報など、あらゆる方法でお願い申し上げます。香川県弁護士会の連絡先は、下記の通りです。
〒760-0033
香川県高松市丸の内2-22香川県弁護士会館内
小早川龍司香川県弁護士会会長殿
電話 087-822-3693
FAX 087-823-3878
では、以下、生田先生が作成された文書を、数回に分けてご紹介させて頂きます。
記
香川県弁護士会の懲戒委員会及び懲戒手続に関する会規(以下「懲戒会規」という)の問題点―同会の懲戒会規は、憲法の禁ずる特別裁判(憲法76条2項)に該当する―
弁護士 生 田 暉 雄
目次
第1、懲戒手続は市民社会の模範手続として重要である
第2、香川県弁護士会懲戒会規の超後進性
第3、香川県弁護士会懲戒手続に関する会規は、憲法の禁ずる特別裁判所(憲76条2項)である
第4、香川県弁護士会懲戒手続規程(懲戒会規)の後進性とその濫用
第5、本件懲戒の独自の問題点
第6、本件懲戒の結論及び執行を受忍できない理由
第7、結論
第1、懲戒手続は市民社会の模範手続として重要である。
1、市民が自分の意見を容易に言える社会とその規制
インターネット等の手段により、市民の誰もが私的にあるいは公開の場で、広範囲に自己の意見を言える社会が到来し、この傾向は今後ますます発展する。
2、市民の意見の濫用、行き過ぎの規制の必要と適正手続
市民が広範囲に自己の意見を言えることの反面として、その濫用の規制も必要となってくる。
規制手続の模範的手続として、これまでの権力機関にはない、新たな規制手段が求められる。
そのときに有力な参考の一つとして、弁護士会の懲戒手続が参考となされるべき時代が到来しつつある。
なぜ弁護士会の懲戒手続が参考とされるべきかといえば、一つは、権力機関ではない民間の機関であること、さらにもう一つは、法的専門機関で、法律的な紛争解決の専門機関であり、法的紛争の参考になるのではないかということである。
それでは、香川県弁護士会の懲戒会規はそのような期待の参考に値するのであろうか。
第2、香川県弁護士会懲戒会規の超後進性
香川県弁護士会の懲戒手続は、社会的に期待される模範性としては真逆の超後進的なもので、憲法違反でさえある。
1、香川県弁護士会の懲戒会規における適正手続の著しい欠如
⑴ 懲戒手続の俯瞰図で、アウトライン、概要の欠如
① 香川県弁護士会の懲戒会規では、第1条に目的として、以下のように規程されている。
『(目的)
第1条 この会規は、弁護司法及び香川県弁護士会会則に基づき、懲戒委員会の職務を適正に行うため必要な事項を定めることを目的とする。』
以上である。
第1条から明らかなように、懲戒委員会の職務を適正に行うことが目的(以下述べるようにこれに限定しても問題がある)であって、懲戒を受ける対象弁護士に懲戒手続の俯瞰図的アウトラインや概要を説明したものではない。
従って、対象弁護士としては、さらに以下でも述べるように、懲戒手続のアウトラインは十分に知らされていない。
⑵ 懲戒手続審査の対象性が不明であること
① 懲戒会規第17条、18条の審査の開始として、以下のような規程がある。
『(審査の開始)
第17条 本会は、法第58条第3項の規定により本会の綱紀委員会が対象弁護士等につき懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認める旨の議決をしたとき、法第64条の2第2項の規程により連合会の綱紀委員会の議決に基づき連合会から事案の送付を受けたとき又は法第64条の4第2項の規程により綱紀委員会の議決に基づき連合会から事案の送付を受けたときは、懲戒委員会に事案の審査を求めなければならない。
(記録の提出)
第18条 本会は、懲戒委員会に事案の審査を求めるときは、懲戒委員会に対し、その事案に関する綱紀委員会の記録を提出しなければならない。』
さらに、第19条以下には次の規程がある。
『(審査開始の通知)
第19条 本会は、懲戒委員会に対して事案の審査を求めたときは、速やかに、審査開始通知書を対象弁護士等に送達し、懲戒請求者、対象弁護士法人の他の所属弁護士会及び連合会に送付しなければならない。
2 対象弁護士等に対する審査開始通知書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
⑴ 懲戒委員会に審査を求めたこと。
⑵ 審査を求めた事案(本会の綱紀委員会、連合会の綱紀委員会又は綱紀審査会の議決書の謄本を添付することをもって代えることができる。)
⑶ 懲戒委員会から出席を求められた審査期日に出席すべきこと。
⑷ 第15条第1項に規定する代理人を選任できること。
⑸ 第26条第2項の規定により審査期日に出席し、陳述できること。
⑹ 第27条第2項に規定する公開の請求ができること。
⑺ 第29条第1項、第30条第1項、第32条第1項、第35条第1項、第36条及び第37条第1項に規定する申立てができること。
⑻ 第34条第1項に規定する証拠書類等の提出ができること。
⑼ 第38条第1項に規定する証拠書類等の閲覧及び謄写ができること。
3 対象弁護士法人の他の所属弁護士会及び連合会に対する審査開始通知書には、前項第1号及び第2号に規定する事項を記載しなければならない。
4 懲戒請求者に対する審査開始通知書には、第2項第1号に規定する事項を記載しなければならない。
(弁明等)
第20条 懲戒委員会は、事案の審査にあたっては、対象弁護士等に対し、弁明その他陳述の機会を与えなければならない。
2 懲戒委員会は、本会から事案の審査を求められたときは、特別の事情のない限り1ヶ月以内に、対象弁護士等から弁明を聴取し、又は弁明書の提出を求めるものとする。』
以上のように、懲戒審査の開始の章さらには第3章の「審査の方法等」を検討してみても、懲戒審査の対象が何であるのかは不明である。
なお、上記2の⑵について、なぜ綱紀委員会の議決書で代えることが出来るのか、合理的な説明が必要である。懲戒を申し立てながら申立人において合理的に説明出来ない場合、申立の動機、背景に問題点がある場合が多い。特に十分な能力を有しながら、あえて不十分な、場合によっては拙劣な申立書を提出している場合が無いわけではない。虚偽の事実による懲戒申立をして虚偽告訴罪(刑法172条)に問われることを避けるため、あえて拙劣で不明な申立書にしている場合があるのである。綱紀委員会の議決書で懲戒申立書に代替する場合は、念には念を入れて注意すべきである。不用意に綱紀委員会の議決書で懲戒申立書に代えることには十分な注意が必要である。
特に本件Xのように、市会議員を何期も務め、ある意味では本件のような懲戒や苦情申立の専門家であり、自分でも有能な市会議員であることを誇りにしているXにおいて、あえて拙劣な懲戒申立書を書いている意味を解明することが、代替議決書を作成することよりもはるかに重要な役割である。
綱紀委員会の議決書で懲戒申立書に代える場合は、懲戒委員会において対象弁護士の議決書に対する認否が絶対に必要である。
② 懲戒審査の対象は、懲戒申立人による懲戒申立の内容なのか、それとも綱紀委員会による議決(懲戒会規17条)なのか。
本件懲戒申立人Xによる申立の内容は虚偽に満ちたもので、内容的にも真実が少ないと対象弁護士は考え、それ相応の対応をしていた。
しかし、綱紀委員会は懲戒手続を開始すべきとの議決書を決議した。
綱紀委員会の議決書が審査の対象となるのであれば、独断と偏見に満ちた議決内容にはほぼ全編にわたって異議がある。
しかし、対象弁護士は、懲戒申立人による申立内容が懲戒審査の内容だと考えて、議決書には一切意見を述べていない。
懲戒委員会も綱紀委員会の議決書に対する認否を求めていない。
懲戒審査の対象が懲戒申立書の内容なのか、綱紀委員会の議決書であるのか。
この点を明瞭に規程する会規を置かずに対象弁護士は懲戒申立書の内容だと思い、懲戒委員会が綱紀委員会の議決書であると理解して懲戒の審査を進めたとすれば、対象弁護士は誤解に立脚していて、対象弁護士に対する不意打ちも甚だしい。
当然に、対象弁護士の錯誤により、懲戒の結論は無効である。
それ以上に、弁護士会の懲戒手続自体が詐欺に基づくものである。
③ さらには、対象弁護士は、懲戒手続において、綱紀委員会の議決書に対する認否、反論の機会が与えられていない。
この手続は、弁護士会の懲戒委員会における重大な手続ミスがある。
④ 綱紀委員会の議決書の懲戒審査の対象であるとするならば、さらに次の問題点として懲戒委員会の予断排除原則との関係が生ずるが、この点は懲戒審査判定の組織との関係で詳論する。
つづく
大学と各種の専門学校で、法律学、哲学、社会学、家族社会学、家族福祉論、初等社会、公民授業研究、論理的思考などの科目を担当しています。
KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
私は命ある限り、人間を不幸にする悪と闘い抜く覚悟です。111歳までは、仕事をしようと決意しています。