記
「それはともかく、お釈迦さんの弟子達は、過去の因縁を探る修行をしたと聞きましたが」
ーー彼等は仏の言葉を学習し、それを体得するための禅定に入るんです。して心の散乱を防ぎ、薄目のまま沈潜していく。この過程で、例えばという神通力を体得できる。自己の過去世を知る能力です。彼等は〃の衆生〃といいまして、久遠の昔から仏や菩薩達に親しみ近づき、弟子や信徒となって支えてきた人間です。具体的には説法を助けたり、衣食などを供養して尊重し、善の性質を植え付けてきた。だから仏の出世に会うことができ、弟子となって神通力も体得できた。
ところが我々はそうじゃない。約一千年前の1052年から末法です。それ以降に生まれた人は、我々を含めて〃の衆生〃だから、もともと善の性質などありません。それこそ仏やその弟子達を棒で打ち、石を投げて追い払ってきた人間です。それが末法に生まれてきた我々です。我々には、みんなそんな過去があるのです。だから善なんてあるはずがない。
お釈迦さんはまことに憐れむべき衆生であると言い、仏の悟りである法華経を残した。そして末法に入ってから一般大衆全てに伝授し、現世一代での正しい修行によって悪を離れるよう教えたわけです。具体的には法華経の説法の場で格別な儀式を行い、新たに登場した地涌の菩薩達にそれを授けた。末法に入ってから、彼等は日蓮聖人を筆頭に弟子や信徒として登場した。だからいつの世でもほんの一握りしかいません。日蓮聖人直結と言いながら、聖人の曼荼羅を大量に焼却処分した創価学会を、地涌の菩薩と認めることはできないでしょう。
さて、法華経第二十八章では、過去世において法華経修行者の過失や悪を暴露した人は、次世代ではハンセン病にかかると仏が断言されてます。20世紀半ばまでは不治の病でした。ハンセン病患者の収容施設には各宗派の祭壇がありますが、法華経を尊ぶ日蓮系教団の祭壇が盛況です。なんせ原因が説かれているんですから。創価学会の祭壇もあります。A新聞にその記事が載っていました。しかし過去世を強調すると、差別を助長するのかと非難されますから、あんまり口にしない方がいい。たとえ事実でも、当人や周囲の人から反感や憎悪を買うでしょう。それで自殺でもされたら、どう責任をとるんですか。お金払ってすむ問題じゃないでしょう。
「ところで現在の日本では、年間2万人もの自殺者がでるんです。欧米のメディアでも話題になってましたが、仏教ではそれをどう考えるんですか。なかなか成仏できないと聞きますが」
ーーそりゃあ当然ですよ。自殺には相当なエネルギーを使うんです。救うためには、それ以上のエネルギーが必要になる。東京にいたときの勤務先の知り合いで、歌舞伎町のビルの8階から飛び降りた人がいました。後ろから抱き止めようとしても、引きずられて自分も落ちてしまいます。率直に言って、私には止める勇気はありません。自殺二日前に当人に会ったという人は、顔色が蒼白だったと言ってました。葬儀の際、喪主の奥さんは涙一滴もこぼさなかったそうです。気の強い奥さんだと聞いてましたから、ふだんから自殺者本人が苦しみを打ち明けられず、回線を外すような状態に追い込まれていたんでしょう。在りし日の苦悩を理解してあげられなかったということは、現世で止める術はなかったわけです。死んでも回線を外した状態だから、こちらの祈りは容易に届かなくなっている。成仏するとは考えられない。
つづく
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KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
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