シナリオ「三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-」のつづきをご紹介致します。このシナリオは、2021年度のさぬき映画祭シナリオコンクールに応募した作品です。
三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-
10 香川大学・教育学部・8号館・811教室
座席にプリントが置かれている。
学生達が入室して来る。
島津「プリントは、皆さんが鑑賞したドキュメンタリーの感想レポートです。名前は、全部黒塗りにしてあります。全員のレポートを読んだ上で、来週までに意見交換をして置いて下さい」
賢治「全部読むんですか?」
島津「もちろん。次回は、各グループの代表者に話し合いの結果を発表してもらいます。今日は、これで解散」
11 香川大学・六号館・社会科研究室
希望、早苗、賢治、洋平が向かい合って座っている。
早苗「同じドキュメンタリーを観たのに、感想は違っているね」
洋平「成田空港を作る時に、機動隊と農民や学生達が激突したとは全く知らなかったよ」
希望「日本の現代史を学んだことがなかったことに気が付いた」
早苗「でも、なぜ、この映画と『夜と霧』が未来からの留学生の劇の参考になるのかしら?」
賢治「希望ちゃんが責任者だから、教授に質問して。よろしく」
12 香川大学・教育学部・8号館・811教室
希望達のグループが教壇に並んでいる。
島津「大塚さん達のグループでは、なぜ、これらのドキュメンタリーが未来からの留学生に関係があるのかとの意見があったのですね」
希望「そうです。先生の意図が分かりません。」
島津「日本国憲法が制定された背景を知るためです。あなた方は、現代史を学んでいないでしょう」
早苗「確かに、大学入試では範囲外ですし」
島津「ヒトラーが率いたナチスは最も民主的と言われたワイマール憲法下で政権を取り、ユダヤ人の大虐殺を行ったのです」
希望「福島さんの映画は、第二次世界大戦後の日本の歴史を知るためなのですか?」
島津「そうです。と同時に、福島さんのことを知って欲しかったからです」
洋平「でも、映像だけではね・・・」
島津「香川大学の構内にも、第二次世界大戦に関連する記念碑があるのを知っているかい」
賢治「まさか。本当ですか?」
島津「次回は、そこに案内します」
つづく
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大学と各種の専門学校で、法律学、哲学、社会学、家族社会学、家族福祉論、初等社会、公民授業研究、論理的思考などの科目を担当しています。
KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
私は命ある限り、人間を不幸にする悪と闘い抜く覚悟です。111歳までは、仕事をしようと決意しています。