シナリオ「三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-」のつづきをご紹介致します。このシナリオは、2021年度のさぬき映画祭シナリオコンクールに応募した作品です。
結果は落選でしたが、貴重な体験となりました。ご高覧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
三つ子の魂百まで-三歳児から学ぼう日本国憲法を-
5 教育学部・8号館・6階・島津研究室入り口
希望がドアをノックする。「どうぞ」との島津の声。希望が、研究室のドアを開ける。研究室内の通路には沢山の本が置かれている。
島津「気を付けて。座る場所がないから、立ったままで話そう」
希望、早苗、洋平が奥まで進む。
教授の机の上に本が沢山置いてある。机の横のホワイトボードの真ん中に「憲法大学習運動の可能性」と大書され、その周りには付箋が多数張られている。
島津「どうしたの?」
希望「(意を決した表情で)一方的に決めるなんて先生、憲法をテーマにした劇は私達には無理です。」
島津「先輩達に尋ねたかい?」
早苗「まだです」
島津「努力と真剣の違いが分る?」
洋平「(びっくりした表情で)え?」
島津「努力は言い訳に使われることが多い。努力したけれど、できませんでしたとね」
早苗「確かに」
島津「君達は努力もしていないだろう。やると決めた上で、どうしたら実現できるかを考えるんです」
希望「憲法は、守ろうとする人達と、改正すべきだと主張している人達が対立しています。意見が対立している問題を、しかも3,4歳の小さな子どもから保護者と高校生まで参加する未来からの留学生で扱うなんて無茶苦茶です」
早苗「そうです。私達は将来教員になります。教員は中立でなければならないはずです」
島津「(大笑いする)ワッハッハ。確かに、憲法をめぐる議論は対立しているよ。でもね、憲法を学習しようとの提案には、右も左も反対できないだろう」
希望「学習ですか?」
島津「そうだよ。この企画は、憲法のことを学ぼうとの動機付けになればいいんだ。次回、ヒントとなる私の論文を配布するから」
6 香川大学・教育学部・8号館・811教室
座席にプリント「憲法大学習運動の立法化は可能か?」、「三歳児からの憲法学習の可能性を考える」が置かれている。
島津がスクリーンを下ろそうとしている。学生達が入室して来る。
島津「今日はドキュメンタリー『夜と霧』を上映します。(教授はDVDの箱を見せながら)ご覧になったことがありますか?」
学生達は顔を見合わせる。
島津「この映画はアウシュビッツ収容所のドキュメンタリーです。それから、連休の間に、ホールソレイユで上映されている映画『ニッポンの嘘―報道写真家福島菊次郎90歳』を鑑賞して下さい」
つづく
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大学と各種の専門学校で、法律学、哲学、社会学、家族社会学、家族福祉論、初等社会、公民授業研究、論理的思考などの科目を担当しています。
KJ法、マインド・マップ、ロールプレイングなどの技法を取り入れ、映画なども教材として活用しながら、学生と教員が相互に学び合うという参画型の授業を実践しています。現在の研究テーマの中心は、法教育です。
私は命ある限り、人間を不幸にする悪と闘い抜く覚悟です。111歳までは、仕事をしようと決意しています。